月環げっかん
帳票表記:月声の高さと、抑揚の軌道
基本周波数や高低の動きを、月の軌道へ写す属性。声がどの高さを通り、どんな幅で動くかを見ています。
THE FAMILIAR BESTIARY / 全十種
声の数値を五つの属性へ翻訳し、上位二つの組み合わせから一体を召喚します。
耳に星を飼う兎も、沈黙を拾うカラスも。みんな、声から生まれる使い魔です。
FIVE ATTRIBUTES
帳票の「月・炎・霧・水晶・時」と同じ属性です。
基本周波数や高低の動きを、月の軌道へ写す属性。声がどの高さを通り、どんな幅で動くかを見ています。
声の強弱や調音速度を、前へ運ばれる火花へ写す属性。文の中で力がどう動くかを見ています。
帯域の配分や微細な揺らぎを、霞や薄膜へ写す属性。音の成分がどのあたりへ重なるかが、手がかりになります。
持続母音の音高や周期性などを、透ける結晶の芯へ写す属性。採用できた観測値から、響きの揃い方を見ています。
速度や沈黙の配列を、環や残像へ写す属性。話している時間と間の関係から、語りの流れを見ています。
魔力値は当店独自の尺度です。値の大小は声の優劣ではなく、今回の録音に現れた特徴を表します。
TEN FAMILIARS
種族は二属性の組み合わせで決まります。主属性・副属性の順や五魔力値、召喚相によって、同じ種族にも個体差が生まれます。
SPECIMEN / 01ほしくいうさぎ
声が跳ねた。夜空がひとつ欠けた。
三歩先へ跳ぶくせに、振り返って待っている。いちばん強い一語を、星ごと食べたがる。
高低の動きと、強弱・速度が結びつく声から。
SPECIMEN / 02はくめいのはねねこ
月の縁がほどけ、猫のかたちで戻ってきた。
呼んでも来ない。けれど息を置いた瞬間には、膝の上。霧の羽で声の外側に寝そべる。
高低の軌道に、やわらかな輪郭が重なる声から。
SPECIMEN / 03つきふのはりちょう
ひとひらの声が割れずに羽ばたいた。
抑揚の山と谷を翅に採譜する。翅を閉じた夜だけ、覚えた一音が小さな鈴になる。
抑揚の動きと、揃った響きの芯を持つ声から。
SPECIMEN / 04つきどけいのふくろう
月が瞬いた。その遅れから梟が生まれた。
片目は声を聴き、もう片目は次の一拍を見ている。沈黙を数え終わるまで、触ってはいけない。
高低の配列と、間・速度の配置が結びつく声から。
SPECIMEN / 05ばいえんのきつね
竈の火が笑い、煤の中から尾が二本のびた。
火花を二本の尾で、抱ける煙へ練り直す。仕事は早い。撫でると、手に煤がつく。
強弱・速度の動きに、やわらかな響きが重なる声から。
SPECIMEN / 06べにはりサラマンダー
赤い火が割れずに固まり、四本の脚で歩き出した。
外側は冷たいまま、炎だけが体内を走る。気に入った一語の上から、誇らしげに動かない。
強弱・速度の焦点と、揃った響きが結びつく声から。
SPECIMEN / 07びょうしんコウモリ
秒針が盤を離れ、翼をひらいた。
落ち着きがないのに、時間には厳格。召喚される半秒前から、残像の間を飛んでいる。
ことばを運ぶ強弱・速度と、間の拍が結びつく声から。
SPECIMEN / 08あめがらすのへび
雨が落ちるのをやめ、透明な背骨を選んだ。
背中の雨粒は、いつまで待っても落ちない。霧へ逃げるくせに、声には骨を巻きつけて離れない。
やわらかい表面に、響きの芯が通る声から。
SPECIMEN / 09よとばりカラス
夜が口を閉じ、その沈黙だけが翼になった。
言わなかった一拍を、黒真珠にして舌の下へ。何もかも知っている顔で、次の言葉を待つ。
やわらかな輪郭と、沈黙の余白が結びつく声から。
SPECIMEN / 10すいしょうづののこじか
その声は、時間の縁に透明な蹄の跡を残す。
静かな一歩ごとに、透明な道を敷く。急かされると、澄ました顔のまま水晶角で小突く。
揃った声の芯と、間を含む語りの流れが結びつく声から。